牛田 泰正さん
半年ぶりの会員便りは牛田泰正さんからの便りです。
現在は青森県八甲田山の大自然の下でSDGsを率先した無農薬野菜の、自然栽培に取り組んでいます。
牛田泰正さんは1973年(S48)経営学部を卒業。
その後アメリカのミシガン州立大学経営学部修士課程で学びMBA(ホテルレストラン科)を取得。
卒業後は外食産業に従事 後に独立、これらの経験をもとに城西国際大学、 弘前医療福祉大学、弘前大学にて専門のフードビジネス論を指導、教鞭をとりながら一方では大学内外の敷地にて学生たちと”食”の基本となる野菜の栽培を行ってきました。
その過程の中で自然栽培の先駆者である木村秋則さんと出会い地球の環境問題に接して地球にやさしい無農薬、無肥料、無除草剤で土壌菌など多様な生物の力を活用する野菜の自然栽培を学び、大学退官後に2万坪の土地を借り受け、「南八甲田ファーム」と名付けこれからは社会に役に立つ仕事をとクラウド ファンディングを利用、昨年より野菜の自然栽培に取り組んできています。
未来に生きる子供たちに美しい地球を残す!
どうか後押しを宜しくお願い致します。
私は1973(S48)年経営学部卒、「農業生産法人株式会社ノア」代表の牛田泰正です。卒業後ミシガン州立大学にてMBAを終了し、外食企業で働き、2008年より城西国際大学で4年間、その後2012年からは一昨年まで、青森県の弘前医療福祉大学短期大学部で、フードビジネス論を教えてきました。そこでは校舎近くに約30坪ほどの農地を借りて、じゃがいも、サツマイモ、枝豆、トウモロコシ、トマト、ナスなどを栽培し、調理師を目指す学生と共に収穫作業をしてきました。
そんな中、世界で初めて、無農薬・無肥料・除草剤も使わないリンゴの栽培に成功された木村秋則さんと出会いました。木村さんはNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」や映画化された書籍、「奇跡のリンゴ」の著者であり、自然栽培の先駆者として著名な方です。
かつて私の土作りは枯葉を堆肥の主としながら、石灰や窒素、リン酸、カリウムの入った化学肥料を使用しておりましたが、木村さんから自然栽培の基本を教えていただきました。
実は良かれと思った化学肥料が、実際は土壌を汚染していたのです。
70歳にて大学退官後、知人から青森県八甲田山にある約2万坪(東京ドームは15000坪)の農地を格安で借りることができるようになりました。そこでこの土地を活用して木村秋則さん監修のもと、無農薬作物の自然栽培を行うことにいたしました。
冒頭に記しましたが、自然栽培とは、化学肥料も農薬も除草剤も使わず、土壌菌など多様な生物の力を活用する農業です。それゆえに地球温暖化を阻止する方法なのです。
人間活動による地球環境の悪化はますます深刻となっています。テレビで映像を見た方も多いと思いますが、地球の温暖化によって南極の氷河が崩れ落ち、白熊が流氷に乗り、流されているシーンです。
平成30年度の環境白書によると地球の生命維持システムは存続の危機に瀕しているとのことです。地球上の生き物が存続するためのシステムへの影響を客観的に評価する9つの環境要素のうち、種の絶滅の速度と窒素・リンの循環が、オゾン層を破壊し生き物が生存できない高リスクの領域にあることが分かります。
そしてオゾン層破壊の最大の理由は、農業作業などによって生じる「亜酸化窒素(N2O)」と言われています。農地の燃焼や化学肥料に対する土壌微生物の作用により発生し、その結果、大量の窒素化合物が環境中に放出されるのです。
二酸化炭素が最悪なオゾン層破壊物質であるかのように伝えられていますが、実は亜酸化窒素(N2O)は二酸化炭素の300倍もの温室効果を持ち京都議定書に規制対象になる温室効果ガスの一つになっています。
急激な解決は難しいと思います。しかし上記の事実を見逃すことはしできません。70歳を過ぎこれからは社会に役立つ仕事がしたいと思い、私は自然栽培への挑戦を決意しました。
2回のクラウドファンディングが目標を達成いたしました。同じ意識を持つ人が多いことがわかりました。そして昨年秋に10名ほどのボランティアの方の支援で、少量ですが、結果が形になりました。添付した新聞記事(21年10月27日)はその内容です。
今後は、有機野菜、自然野菜栽培の啓蒙活動に力を注ぎたいと思っております。
皆様方のご指導、ご教授よろしくお願いします。
学生の皆さんへ
在学中はドラマセクションに属していましたが、ディベート、ディスカッション、スピーチ大会等に積極的に参加しましたし勉強もしました。
このいろいろな経験が学生時代及び社会に出てからの人生に大変役に立ちました。
大事なことはまず目指す目標をしっかりと持つこと!
そして友人を、仲間を、先輩を、後輩を大切にしてください。
これらの築き上げられた人間関係こそが正に人生の宝物となります。
牛田泰正
著書の紹介 “外食産業創業者列伝”(路上社)
追 伸
このOB便りを投稿いただいた牛田泰正さんが、先日、病気の為に他界されました。
70歳を過ぎて社会の為にと大プロジェクトを開始されたばかりで残念なお知らせです。
心残りであったであろう「南八甲田ファーム」は仲間の方々にて継続されるそうで
その志はずっとつながります。
この便りが遺稿となりましたが、地球と環境を思う気持ちはみんなで大切に共有して
いきたいと思う次第です。
謹んで故人のご冥福をお祈りいたします。
駿台ESS役員 古野隆司
1975年(S50)政経学部卒業